Novel.
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月が浮かんでいた。
黄色のような橙のような。
影がある。
消えかかる。
そうか、グレープフルーツみたいだ。
静かに鳴り響くピアノの音は奥地を歩く兵隊の足音なのかもしれない。
きっとそうだ。
黒鍵と白鍵が歩き出す。
「そら、みたことか」
躓き、憂い、穴だらけ。
そういうことだ。
きっとそういうことだ。
酔いどれの詩人
そんな素敵な言葉を知ったのはまだ若い頃だった
今でも
なにもかもが消えないことに感謝しかないと思うのだ
STRUCTURE Note.
2907 / Wg Wide Bar-7 PANTS / WgB7


これは本当にとんでもないパンツが出来上がったと感じている。
ROT-9という元々ドローイング(落書き)から生み出したパンツをベースにそれはその後にBAR-7と呼ばれる極限の湾曲を持った変形パンツへと昇華していく。その流れの中でさらなるドローイングの追記(追画)を書き加えることで、想像であり空想というデザインの原点(まさしく雲を掴むようなイメージの世界に僕は身を置くからだ)を具現化した。
ガゼット付きの股下に加えてサイドシーム部分にも本来ありえないサイドガゼットを施した。着用するとこのサイドガゼットが独特のフォルムを生み出す。寸法通りのワイドパンツであるにも関わらず、その着用シルエットはそのワイド感を意図的に感じさせず究極なほどに美しいフォルムシルエットとなっている。また極端に湾曲しているシルエットラインにより膝〜裾に掛けては無数に刻まれるシワがデザインアイコンにもなり大きな見どころと言える。さらには裾のジップを開閉することによってシルエット全体の印象が大きく変わりサンダルやシャープなシャフトのブーツ、スニーカーであれば全閉で収まりが良く、エンジニアブーツやヒールがやや高めでゴツ目のブーツであれば全開にすると無骨でワイルドなミリタリーパンツの匂いを放つ。ぜひ開閉バランスでも楽しんでもらいたいパンツである。
MATERIAL Note.
Parawax WARcloth / Smokeyolive
C100%

戦前から現存する台数が非常に限られたコットンの厚織機械を用いて織られた79号生地で、軍モノのテント生地やズタ袋などに使用されてきた歴史的な意味合いも持った素材である。重厚に織られたこの生地を染加工段階で生地にパラフィンワックス加工を施しており科学技術が発展する以前の旧時代の撥水性を得ている。(デザインとしては撥水性の意味合いよりもワックスが持つ硬さと経年着用によるチョークマークを含めた味わいのためと言えるのだけれど)
着込むごとにそのシワは深く刻まれ、またワックスが経年で擦り始めることでその表情自体に陰影が生まれることで布帛ながらもレザーやデニムと同様に育っていくことを味わってもらえる素材として完成している。ノンストレッチでもあり決して着用しやすい素材ではないからこそ、愛情が深く刻まれていくのではないだろうかと考える。

Photo details
Camera + LEICA M(Typ240)
Lens + LEICA SUMMICRON 35mm f2.0(My 1964)
Photographer / —– URANO Takahiro
2026 Autumn & Winter
” BLOOD CROSS “