Abakareta Sekai.
「暴かれた世界」
“ GUERNICA ”
9月に吹く風があり、10月に吹く風がある。
どちらもそれはただの風だ。
でも、その風の中に含まれる匂いや空気は少しづつ違う。
バームクーヘンの層のようにそのひとつひとつは絶妙に入り組んでいてその歪みのない風は僕の心を少しづつ歪ませていく。
テーマとしての主張と意味が強い今回のコレクションでは、その物語に紐付いてそれらの世界自体がデザインの枠組みとなり礎になっている。つまりそれらはそれぞれ単一のアイテムで眺めるととても歪みが強くそれぞれが湾曲しているように見えることだろう。
だが、しかしその歪みはそれぞれの歪みとぴったり重ね合わさり符合していくのだ。
誰が?
どこで?
なにを?
世界を作っているのはダレナノカ。
自分自身とそれを取り巻く「在る」と言われている世界は本当にそこに「在る」のであろうか。
もしかすると在ると思っている世界はただの架空のものなのかもしれないし、きっとそれを証明することは出来ないのかもしれない。少なくとも僕にとっては世界とはそういったものだと思っているし、その僕の世界は誰であっても壊すことは出来ないのと同じこと。
色褪せた紙には時代を感じさせる滲んだインクが染み込んでいて、そこには美しく朽ちた言葉が並んでいて僕はその本を開くたび新しい旅の世界へ踏み込んでいくように感じるし、僕が感じることは僕の世界においてはある種の絶対性を保ち歪みのある世界においてはやはり僕自身も歪んでいることを認識する。
つまりは歪みを持った世界こそが僕にとっての水平と垂直であり世界の均衡なのだ。
そう、この世界は僕にとっての「暴かれた世界」